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まず分科会では製麺メーカーが製麺技術を開示することを決めた。
製麺技術と麺の品質との関係を調べるためである。 製麺メーカーは企業規模が小さく地場産業的で、それでいて独自の製麺技術を持っていた。
10社の製麺メーカーは、Sヘの商品納入という意味では互いに競合関係にある。 ライバル企業同士が同じテーブルにつくうえに、技術を同業者に開示するなど業界の慣習では思いも寄らないことだった。
しかし分科会は、こうした業界の構造や習慣をまず取り払うことを求めた。 それぞれの企業が技術の開示を行い、その中から最善の調理・製造方法を模索することから始めないと、消費者のニーズに合った商品開発はあり得なかった。
NDFにおける商品開発の基本は、メーカーなど供給サイドの都合は排除して、消費者の視点、店頭での販売動向という需要サイドの要望をどれだけ具体化するかにある。 ただ製麺メーカーにとっては、NDFに参加しないと「小割けそば」の商売を失う恐れがあった。

急速に店舗網を広げている「S」の店頭から商品が排除されることは、ビジネスチャンスを失うことになりかねない。 だからNDFという新世界に飛び込まざるを得ないという事情もあった。
分科会はメンバーが月に数回集まり、「コンビニで売るのにふさわしい『そば』とは何か」という問題意識を共有し、そこから議論を開始した。 一般のそば店と違ってSの「小割けそば」は、製造から販売、消費まで最低でもまる1日を要する商品だった。
この時間の経過によって、そばは伸びてしまい味覚が落ちるのは当然と言えば当然だった。 消費者を対象に調査をしたところ、Sに期待する「小割けそば」とは、街中にあるそば屋よりもおいしく、安い価格が求められていることがわかった。
まず、時間が経過しても味が落ちない製粉の仕方を考えることになった。 数多くのそば粉の中から、時間経過に耐えるそば粉を探し出す作業に入った。
NDFに参加した各製麺メーカーは独自の仕入れ先を持っており、同じSの「小割けそば」であっても、使用するそば粉はバラバラだった。 当然、「S」に並んでいた「小割けそば」も、製造メーカーによって品質が異なっていた。
だが、逆にそば粉の仕入れ先の多さは、時間が経過しても品質の劣化が少ないそば粉を見つけ出すのに役立った。 その結果、時間の経過に堪えるそば粉を10社の製麺メーカーが使うことになり、麺の品質の共通化が実現した。
次は「つゆ」の改革である。

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